iPadPro上での音楽制作は継続中。4月下旬にはセカンドアルバムをリリース予定。iPadProだけで完結するポリシーで音楽制作をするとしても、複数のデイバスを音源として同期したり、エレクトリックギターやマイクで録音した音源を取り込んだりするときには、D/A、A/Dコンバータ内蔵のミキサーが必要になってくる。以前は12ch程度のフェーダーを備えた中規模のミキサーを使ったこともあるが、今はあまり大袈裟なものではなく、デスクに常設してもじゃまにならない4ch〜6ch程度のシンプルなミキサーがいいなと思って調べて選んだのが、このZOOMのLiveTrack L6というデジタルミキサー。もう、使い始めて3ヶ月になるが、結構役に立っている。
このL6の特長は、デュアルA/Dコンバータと32bit Float処理によって低歪で入力時の高音質が保てるという点だが、個人的にはコンパクト、USB-C対応、バッテリー駆動可能、macOS版の専用ソフトでミキサーの各種設定ができるという点が決め手になった。手軽なミキサー付きのオーディオインターフェースとも言えそう。
iPadProやMacBookシリーズと接続すると、インプット、アウトプットの両方向で使用できる。以下は、M2 iPadPro で使用したときの話。
電源周り、USB-C関連
- USB-Cでの電源供給が基本。パッケージにはACアダプタも付属
- 別途単3乾電池4本で3時間程度の稼働も可能(電源のないところでも一応使えるバックアップ程度かな)
- オーディオインターフェースのUSB-Cからデバイスへの電源供給はなし。MacBook Proのように本体に複数のポートがあれば、一つを音声出力USB-Cへ、もう一つを充電用のUSB-Cへ接続できるが、iPadProのように一つしかポートがないと、デジタル音声出力のみで充電しながらの使用はできない。
- このL6のUSB-Cポートは、USB HUB経由だとデバイスから認識できない。デバイスと直接ケーブルで接続する必要がある。
オーディオ出力インターフェースとして
- USB-Cで接続すればL6としてデバイスが認識される
- ミキサーへのフォンプラグでのアナログ入力とUSB-C接続では出音のニュアンスが少し違う
- アナログ入力はギターやキーボードなどの音調がわずかにソフトになる印象、まとまりはいいい
- USB-Cのデジタル入力は、明瞭度が高く、細部まで見通しがいい。価格を考えたら高音質では
- 整理され過ぎている印象もあるが、エフェクター処理などが効果的
- ヘッドフォンモニターの音量は、マスターボリュームに連動する点に注意
オーディオ入力インターフェースとして
- マイクは試していないが、エレクトリックギターはエフェクターを通したものをそのままフォンプラグの入力で使える
- アナログ入力のチャンネルは AUMやLoopyProなどの DAW系アプリの外部入力として扱える
- MacBookでLogicPro、Ableton Liveなどを使用する前提ならL6本体をDAW接続用として起動する方法もあり(ファームウェアを1.1にアップデートする必要あり)
操作性・便利な機能
- コンパクトな筐体に多機能を詰め込んでいるので、チャンネルごとにフェーダーやノブがあるミキサーと比べると操作性は落ちるが、慣れればある程度はリアルタイムで操作できそう
- 基本的には、まず音量レベル、パン、エフェクター、トーンコントロールなど選択ボタンを押してからチャンネルの電子ノブを回して適応量を調整する
- チャンネルごとの設定などの全体は3種類まで「シーン」として保存可能
- このミキサーはポッドキャスト制作用途も意識しているので、サウンドパッドという機能があり、SDカードに保存した4種類の音源をボタン操作で再生できる。ジングルような用途でも使えるし、ライブでデバイスの設定や切り替え作業中のつなぎのサウンドを再生するような用途でも使える
- リバーブ、ディレイ、テープエコーのシュミレーターを内蔵。チャンネルごとに適応量を電子ノブを回して設定する。詳細設定は専用アプリケーションを使用する。
録音関連
- 本体に挿入したSDカードへの録音が可能
- 音量はマスターボリュームに依存。入力チャンネルごとのステレオ音声ファイルが保存される
- フォーマットは48KHz, 32bit float
- ファイルの取り出しは、Mac上の専用アプリでマウントして行う
- 取り出したファイルをLogic Proなどでの再編集は可能
こんなコンパクトなミキサーでも1台あると、音楽制作をより効率的に行える。 詳細な使用方法は次のビデオが参考になる。