セカンドアルバム「You Wanna Go Without Me」は、4月21日にApple Muisc、Spotifyなどの主要ストリーミングサービスで配信予定。bandcamp.comでは、ダウンロードと限定CD-Rの販売を開始する予定。
今回は、この「You Wanna Go Without Me」の制作のきっかけになった話を。ファーストアルバムは、モジュラーシンセやドローンの持続音といた音響的な試行が中心だったが、セカンドには、人の話し声や語り、歌など、ドラマや感情的なものを含ませたいというコンセプトがあった。その素材収集のために、古いパブリックドメインの映像を探してる中で見つけたのが1949年の映画「D.O.A」。この映画を巡っては著作権延長の手続きの手違いでパブリックドメインになったという逸話もある。
ストーリーは、主人公が新しい女性に惹かれ仕事にかこつけて恋人を置いて旅行にいくと、何物かに毒物をもられ数日の命となって犯人を探す、というもの。この映画の冒頭、主人公と恋人が事務所で突然の出張について言い争うシーンがある。その中で恋人が最初「I wanna got with you」と懇願しているのが、 のらりくらりと拒否され「You Wanna Go Without Me」と変わっていく。この会話の部分をサンプリングして、何度も聞き返しながら、音楽のアイデアを膨らませていった。
映画 D.O.A youtu.be
アルバムジャケットに使用した画像は、米国のLibrary of Congress(国会図書館)に所属されているパブリックドメインのフィルムが元になっている。この映像は1896年に撮影されたもので、カメラの前で何度をキスをする微笑ましいもの。
ただ、この映像をコマ送りで見ていくと、一瞬だけ、女性が不安げにカメラを見つめるところがある。そのシーンをキャプチャしたものをProcreateで編集してアルバムカバーで使用している。幸福そうなキスでありながら、その次の瞬間の男の裏切りを予見しているような、そんな印象をもたらす。
そうした「不安感」というのが、このアルバムのテーマの一つでもある。