以前の記事で触れたセカンドアルバムのきっかけとなった映画のセリフを含むこの曲は、終盤の「You wanna go without me」と対になるもので、最初のアイデアはこの曲で始まり、「You wanna go without me」で終わるものだった。
最初は映画の音声をサンプリンしたサウンドファイルを作ったりの準備作業があり、実際にその音声をLoopyProに入れて音を重ねていく。メランコリックな弦楽四重奏曲のようなアンサンブルを構築するための音源として、mellotronics streetlytron proを使用している。
見た目は正直あまり洗練されていないけれど、ストリングスの音源は数多く収録されていて、ノブで複数の音源をミックスして演奏することもできる。5年以上前のアプリで残念ながらAUv3のプラグインとしては動作しないが、スタンドアロンのInter-App Audioとして連携は可能。
この曲ではチェロもバイオリンもこのアプリの音。 LoopyPro上で演奏しならがサンプリングして、それを再生しながら異なる音源で他のトラックに演奏を重ねていく。このプロセスを繰り返し、サンプリングしたループをグループに分けて、ラベリングしたり、エフェクトを加えた後に、トラックごとのボリュームやループのオンオフといった演奏用のインターフェースをLoopyPro上に構築する。それで実際にマニュアル操作で演奏しながら曲全体の流れを何通りも試行錯誤を繰り返す。
LoopyProはDAWではないが、ループの再生タイミングを指定する「シーケンス」というモードがあって、その画面上に曲全体のアウトラインとして並べてみることができる。流れは固定できるが、個々のループのエフェクトやボリュームはもちろん、指定しなかったループはマニュアルでオペレーション可能でライブっぽくやれる。
この曲の最後のバスクラリネットのソロはソフトウェアキーボードを両手で弾いた完全なインプロビゼーションで同じ演奏は2度とできない。多分、Eric Dolphyの影響なんだろう。
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