2曲目の「Morning Rain or Tears」は、最初からLoopyProで制作した小品。SopranoTronのバイオリンのピチカート、チェロ、ノンビブラート奏法のバイオリンにカシオのハンディキーボードにエフェクターを加えたDecent Samplerのシンセパッドサウンドを重ねている。
この曲ではシーケンサーは使用せず、すべてソフトキーボードでの手弾きをサンプリングしており、音数も少ないが、エフェクター処理もリバーブだけの非常にシンプルなもの。これも演奏とミックス用に簡単なインターフェースを作成してる。
この音楽は、John Cageのごく初期の作品の「6つのメロディ(1950年)」の影響を受けている。この曲を最初に聴いたのはもう随分前で、高橋悠治とポールズコフスキーの演奏だった。その素朴で儚い夢のような音楽は、その後のJohn Cageとは随分違う。John Cage本人は、「戦争(朝鮮戦争)で社会が騒めいているので、自分は静かな音楽で抵抗を示した」と語っている。
「6つのメロディ」が作られて75年を経ても、相変わらず世界は騒々しい。朝に雨が降り始めた音で目を覚ますような、そうした静かな時間は貴重なものになってしまった。
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